温泉街の異形 別府グローバルタワー

「日本の灯台の父」が建てた最初の灯台 樫野埼灯台


紀伊大島の東端、樫野の断崖に立つ現存する日本最古の現役洋式灯台、樫野埼灯台。
「日本の灯台の父」と呼ばれるイギリス人リチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)による設計で、彼が日本で設計した灯台の中でも最も古いものにあたります。土木学会選奨土木遺産(2017年)。
また1866年(慶応2年)にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4か国と締結した、改税条約(通称江戸条約)により建設を約束した8基の灯台のうちの1基で、1869年(明治2年)3月に着工し1870年(明治3年)6月10日に初点灯。


点灯日が日英で違うのは新暦旧暦の関係

現在は自動点灯の無人灯台で内部は残念ながら非公開となっております。
ただ螺旋階段がつけられており、上部まで登ることが可能・・・ですが個人的にせっかくオリジナルに近い形で残っている建造物に「展望のため」階段を加えるのはあまり好きではないなぁ。。。

階段いらなくない??

1954年(昭和29年)に灯塔が中継ぎされ、2階建てから4階建てとなりました。
現在の灯台の高さは約15m、海面から灯火までの高さは約47mで光度は44万カンデラ。光達距離は18.5海里となっております。

この灯台の最も有名なエピソードはやはりエルトゥールル号遭難事件でしょう。
1890年(明治23年)9月16日夜に、オスマン帝国のエルトゥールル号が台風によって樫野崎沖で沈没。生存者のうち数名が崖を登ってこの灯台に助けを求めにきたのです。
島民による救助活動で69名が救出された一方で587名が死亡、または行方不明となりました。
しかしながらこの事件がきっかけで始まったトルコと串本町の友好関係が、今なお続いているのは素敵なお話。
そこらへんの詳細については参考記事をどうぞ。



海金剛から灯台を臨む

また敷地内にある樫野埼灯台旧官舎も同じくブラントンによる設計で1870年(明治3年)の建設。増築された灯台と違いこちらは建設当時の形態をよく残しているそうです。2003年に国登録有形文化財に指定されています。内部見学可能。入場料100円。

ちなみに灯台もこの官舎も海を挟んで対岸にある古座川町産の「宇津木石」が使われているそうです。また敷地内にはブラントンが故郷のイギリスを思い本土から苗を取り寄せ植えたと言われる水仙が群生しており、冬には可憐な花が咲き乱れ一帯は甘い香りに包まれるとか。
2月訪問時はちょっと遅かったのかな、咲いてませんでした。







樫野埼灯台(かしのさきとうだい)
Address : 和歌山県東牟婁郡串本町樫野1006-1
駐車場:有(無料)

2021年2月訪問



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